営業代行の料金体系は、大きく成果報酬型固定費型に分かれます。どちらが得かという問いには一般的な正解がなく、取れるアポ件数によって逆転します。ここでは分岐点を数式で出し、そのうえで金額以外の判断軸を整理します。

2つの料金体系

支払い方成果ゼロのとき
成果報酬型アポ1件ごとに課金支払いは発生しない
固定費型月額を定額で支払う満額の支払いが発生する
併用型月額 + 成果分月額分の支払いが発生する

成果報酬型は「取れなければ払わない」ため一見有利ですが、件数が伸びるほど支払総額は線形に増えます。固定費型はその逆で、件数が伸びるほど1件あたりが安くなります。

損益分岐点は割り算1回で出る

計算は単純です。

分岐点の件数 = 月額固定費 ÷ 成果報酬の単価

月額30万円の固定費型と、1アポ3万円の成果報酬型を比べた場合の実額を並べます。

月のアポ数成果報酬型(@3万円)固定費型(月30万円)安いのは
3件9万円30万円成果報酬
5件15万円30万円成果報酬
10件30万円30万円同じ(分岐点)
15件45万円30万円固定費
30件90万円30万円固定費(1件1万円)

数字の上ではこれで終わりです。問題は「月に何件取れるか」が事前に分からないことです。

件数が読めないときに固定費型を選ぶのは賭け

アポ化率は商材によって桁が変わります。ターゲットが広い商材と、該当企業が極端に少ない商材では、同じリストに当てても反応が50倍違うことがあります。

つまり月30万円の固定費型を選んだとき、結果が15件なら1件2万円ですが、3件なら1件10万円です。この幅は事前には潰せません。

したがって順番は決まります。

  1. 反応率が読めていない → 成果報酬型で実測する
  2. 件数が安定した → 分岐点と比べる
  3. 分岐点を安定して超えている → 固定費型を検討する

最初から固定費型を選んで合理的なのは、同じ商材・同じターゲットでの実測値を既に持っている場合だけです。

成果報酬型で本当に見るべきは単価ではない

成果報酬型を選んだとき、比較すべきは単価ではなく「成果」の定義です。同じ「1アポ3万円」でも、次の2つは別の商品です。

定義10件のうち3件が空振りだった場合実質単価
日程が決まれば課金10件ぶん = 30万円を支払う約4.3万円(7件で割る)
来なかった分は課金しない7件ぶん = 21万円を支払う3万円

差は43%です。単価表の数字を1割値切る交渉より、この定義を1行変えるほうが効きます。

固定費型の隠れた利点

金額以外の面では、固定費型に合理性がある場面もあります。

  • 件数を追わせない — 成果報酬型は「件数が売上」なので、確度の低い相手にも日程を入れる動機が構造的に生まれます。固定費型にはその動機がありません。
  • 難しい商材に取り組ませられる — アポが出にくい商材は、成果報酬型では受けてもらえない、または単価が跳ね上がります。
  • 件数以外の成果物を求められる — リストの整備や文面の検証など、アポ件数に直結しない作業を含められます。

逆に言えば、成果報酬型を選ぶ場合は件数を追わせる構造の副作用を、契約側で打ち消しておく必要があります(無効アポの定義、判定期限、無償化の扱い)。

支払期日は総額と同じくらい効く

見落としやすいのが資金繰りです。成果報酬型でも、支払いが「アポ確定月の翌月末」なら、受注が決まる前に支払いが来ることがあります。

時点お金の動き
8月:アポ確定
9月末:代行費の支払い支出
10月以降:受注・入金入金(決まれば)

商談から受注までのリードタイムが長い商材では、この時間差が積み上がります。アポ単価だけでなく、支払期日と自社の入金サイクルを並べて見てください。

結論

  • 分岐点は「月額固定費 ÷ 成果報酬単価」で1回の割り算で出る
  • 件数が読めないうちは成果報酬型で実測する。固定費型は実測値を持ってから
  • 成果報酬型で見るのは単価より成果の定義。空振りを誰が被るかで実質単価が4割変わる
  • 支払期日と入金サイクルの時間差も、総額と同じ重さで見る