「うちの業種でもアポは取れますか」は、最も多くいただく質問です。結論から言うと、取りやすさを決めているのは業種名そのものではなく、その商材に該当する会社が世の中にどれだけあるか(母集団)と、決裁者までの距離の2つです。

この2つが分かると、必要な配信量も、1件あたりの単価が上下する理由も、自分で見積もれるようになります。

1. 母集団の広さで、必要な配信量が決まる

同じ「BtoB向けのサービス」でも、該当する会社の数はまったく違います。

商材の条件母集団起きること
どの会社にも当てはまる(経費精算、採用、通信費)広い配信量を増やせば件数は出るが、競合も同じ相手に送っている
業種や設備で絞られる(工場向け、店舗向け、有資格者向け)中くらい条件でリストを作れる。文面を業界語に寄せると差が出る
特定の状況の会社だけ(事業承継、移転予定、上場準備)狭いそもそも該当が少ない。当てる先の精度がすべてを決める

母集団が狭いほど、同じ配信量でのアポ数は落ちます。これは文面や担当者の腕ではなく、分母の問題です。「1,000通で5件」という一般論は、母集団が広い商材の話だと考えてください。

産業別・従業者規模別に何社あるかは、経済センサスで公表されています。ターゲットの条件を決める前に、その条件に当てはまる会社が何社あるのかを一度は見ておくと、計画の桁がずれません。

2. 決裁者までの距離で、アポの意味が変わる

もう一つの軸が、誰に届けば話が進むのかです。ここは業種というより会社の規模と商材の金額で決まります。

  • 社長が決める(小規模・オーナー企業)― 届けば速い。ただし社長は多忙で、メールを見る時間が限られる
  • 部門長が決める(中堅・部門予算内)― 現場の課題に直結する言葉が要る。金額が大きいと稟議に上がる
  • 稟議で決まる(大企業・高額)― 初回商談は情報収集。アポが取れても決まるまでが長い

ここを外すと、アポは取れているのに商談が進まないという状態になります。件数だけを見て「取れている」と判断すると、この歪みに気づくのが遅れます。詳しくはアポ獲得代行が失敗する5つのパターンで整理しています。

3. 文面で変えるのは言い回しではなく「呼び方」

業種ごとに文面を変える、というと丁寧語の調整を思い浮かべがちですが、効くのはそこではありません。その業界で、その課題が普段どう呼ばれているかに合わせることです。

同じ「人手が足りない」でも、業界によって表に出てくる言葉が違います。呼び方が合っていないと、読んだ相手は「うちの話ではない」と判断して、そこで読むのをやめます。逆に呼び方が合っているだけで、内容が同じでも自分事として読まれます。

この呼び方は、こちらが想像で決めるものではありません。御社が普段お客様と話すときに使っている言葉が、そのまま最も精度の高い材料になります。ヒアリングで必ず伺うのはこの部分です。

4. 自社の場合をどう見積もるか

順番はこうなります。

  1. 条件を1枚に書く ― 業種・規模・地域・役職、そして「いまその課題を抱えている理由」
  2. その条件で何社あるかを数える ― 母集団が数百社なのか数万社なのかで、打ち手がまったく変わる
  3. 小さく当てて実測する ― 一般論の数字ではなく、自社の数字を取る
  4. 実測値で引き直す ― 必要な配信量、想定できる件数、1件あたりの費用

2で母集団が小さいと分かった場合、配信量で押すことはできません。その場合はリストの精度と、1社ごとの当て方に寄せることになります。どちらの戦い方になるかを最初に決めておくのが、業種を問わず最も大事な判断です。

まとめ

  • 取りやすさを決めるのは業種名ではなく、母集団の広さ決裁者までの距離
  • 母集団が狭い商材で件数が出ないのは、文面ではなく分母の問題
  • 文面で変えるべきは言い回しではなく、その業界での課題の呼び方
  • 一般論の数字を当てはめず、小さく当てて自社の数字を取る

アポカクでは、条件を伺ったうえでその条件に当てはまる会社がどれだけあるかを先に確認し、成り立たないと思えばその場で正直にお伝えしています。件数を約束しないのは、この母集団が商材ごとに違うからです。

出典