「アポは増えたのに受注が変わらない」という状態は、どこかの段階で落ちています。全体の受注率だけを見ていると、どこを直せばよいか決まりません。ここでは段階ごとに分けて見る方法を示します。
6つの段階
| 段階 | 通過の意味 | 落ちる主な理由 |
|---|---|---|
| ① 接触 | 送った・投稿した | ― |
| ② 返信 | 相手が反応した | 到達していない/訴求が合わない |
| ③ アポ確定 | 日程が決まった | 関心はあるが日程まで進まない |
| ④ 商談実施 | 実際に会えた | 欠席・話が通っていない・部署違い |
| ⑤ 次回設定 | 次のステップが決まった | 提案が刺さらない/決裁者に届かない |
| ⑥ 受注 | 契約に至った | 価格・競合・優先度 |
この6段階のうち、④が抜けている集計をよく見かけます。アポ数と受注数だけを並べると、来なかった商談が分母に残り続けます。
④商談実施率がすべてを分ける
アポの質を測る指標は、実は1つで足ります。アポのうち何件で実際に商談ができたかです。
| アポ数 | 実施数 | 実施率 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 10 | 10 | 100% | アポの質が担保されている |
| 10 | 7 | 70% | 3件が空振り。実質単価が43%上がる |
| 10 | 5 | 50% | 実質単価が2倍。仕組みに問題がある |
実施率が低い場合、原因はほぼ2つに絞られます。
- 商談前に確認の連絡がない — 忘れ・上書き・話が通っていないが当日まで判明しない
- アポ確定から商談までが空きすぎている — 関心が薄れる
どちらも運用で直せます。前日に電話を入れ、予約枠を「24時間より先、2週間以内」に収めるだけで実施率は上がります。
⑤次回設定を成果として数える
初回商談でその場で受注する商材は限られます。初回の目的は次のステップを決めることです。
| 初回商談の結果 | 評価 |
|---|---|
| 次回に決裁者を含めて話す | 成功 |
| 見積の提出を依頼された | 成功 |
| 検討時期を約束して再接触 | 条件つき成功 |
| 「検討します」で次が決まらない | 失注に近い |
最下段が実質的な失注です。次が決まらない商談は、後で追いかけても戻りません。したがって初回商談の評価は「次が決まったか」で行います。
どこで落ちているかで打ち手が変わる
| 落ちている段階 | 打ち手 | 誰の仕事か |
|---|---|---|
| ②返信が出ない | まず到達(バウンス・苦情)を確認。次にターゲット、最後に文面 | 代行側 |
| ③アポにならない | 次の一歩の提示を変える(予約リンク・1問で答えられる質問) | 代行側 |
| ④商談できない | 前日の確認電話・予約枠の期間設計 | 代行側 |
| ⑤次が決まらない | 商談前の情報を厚くする/提案の順序を変える | 両方 |
| ⑥受注しない | 価格・競合・商材の適合を見直す | 発注側 |
この表があると、責任の所在も明確になります。②〜④で落ちているなら代行の運用の問題、⑥で落ちているなら商材や価格の問題です。切り分けができていないと「効果がなかった」という曖昧な評価になります。
アポ単価の妥当性を計算する
歩留まりが分かると、単価の妥当性が計算できます。
アポ1件の期待粗利 = 受注1件の粗利 × 商談からの受注率
| 受注粗利 | 受注率 | アポ1件の期待粗利 | 単価3万円の位置 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 10% | 3万円 | 損益ゼロ |
| 30万円 | 20% | 6万円 | 粗利の50% |
| 100万円 | 20% | 20万円 | 粗利の15% |
1行目の状況なら、単価交渉より受注率を上げるほうが効きます。受注率が10%→15%になれば、期待粗利は3万円→4.5万円です。単価を1割値切るより効果が大きくなります。
そして受注率を上げる手段が、⑤の打ち手(商談前の情報を厚くする)です。歩留まりの表は、単価交渉より効く打ち手を教えてくれます。
集計の実務
段階ごとの数を記録するために必要なものを挙げます。
- アポごとに「実施されたか」を記録する欄(発注側からの報告)
- 実施の報告に期限を設ける(例:商談後3営業日。期限を過ぎたら実施として扱う)
- 初回商談の結果を選択式で記録する(次回設定/見積依頼/再接触/次が決まらない)
- 受注の記録(受注日・金額・粗利)
2行目が実務的に重要です。報告に期限がないと集計が永久に確定しません。期限を過ぎたら実施として扱う規則をセットで置きます。
まとめ
- 段階は接触→返信→アポ確定→商談実施→次回設定→受注の6つ。④を飛ばした集計が多い
- アポの質は商談実施率1つで測れる。低い原因は「前日の確認がない」「確定から商談まで空きすぎ」のほぼ2つ
- 初回商談の評価は「次が決まったか」。次が決まらない商談は実質失注
- どの段階で落ちているかで打ち手と責任の所在が決まる
- 粗利30万円・受注率10%なら単価3万円は損益ゼロ。単価交渉より受注率を上げるほうが効く
- 実施の報告には期限を設け、過ぎたら実施として扱う