「BtoBの企業に幅広く」という状態で配信を始めると、反応が出ないうえに何を直せばよいかも分からなくなります。セグメントを切るのは母集団を減らすためではなく、結果を読めるようにするためです。

切る順序が効く

属性は何でも切れますが、成果に効く順序があります。

切り口効き方
1いま課題を抱えている兆候反応率がもっとも大きく変わる
2業種課題の種類が決まる
3規模予算と決裁の速さが決まる
4地域訪問が必要な場合のみ効く

多くの場合、4から切り始めてしまいます。「まず東京から」という切り方は分かりやすいのですが、成果に関係のない軸で母集団を減らしているだけです。地域が効くのは訪問が前提の商材に限られます。

1位の「兆候」とは何か

属性は静的ですが、兆候は「いま」を示します。公開情報から読み取れる兆候の例です。

兆候読み取れること情報源
特定職種の求人その領域に投資している/人が足りない求人票
新規事業の発表立ち上げに伴う課題が発生しているプレスリリース
拠点の新設・移転設備・環境の整備が必要プレスリリース
資金調達予算がつきやすい時期プレスリリース
展示会への出展その分野を強化している出展者一覧
認証・許可の取得事業領域の拡大公表資料

兆候で切ると、文面に「その会社に固有の一文」を入れられます。「貴社が◯◯の職種を募集されているのを拝見し」という一文があるだけで、無作為の一斉送信ではないことが伝わります。

広さと反応率のトレードオフ

細かく切れば反応率は上がりますが、母集団が減ります。判断は掛け算で行います。

切り方母集団想定アポ化率期待アポ数
業種のみ10,000件0.1%10件
業種+規模3,000件0.3%9件
業種+規模+兆候600件1.5%9件
上記+地域150件1.5%2件

上3行は期待アポ数がほぼ同じですが、3行目がもっとも効率的です。同じ成果を600件の接触で得られるため、リストを消費する速度が16分の1になります。リストは有限な資産なので、この差は積み上がります。

一方4行目は、地域で絞ったために母集団が目標に足りていません。「反応率×母集団が目標に足りる範囲で、もっとも狭く切る」のが正解です。

セグメントごとに文面を変える

セグメントを分けたのに同じ文面を送るなら、分けた意味がありません。

セグメント文面で言及すること
特定職種を採用中その職種の採用の難しさ
新規事業を立ち上げ立ち上げ期に起きやすい課題
拠点を新設新拠点の整備で必要になること
資金調達直後成長投資の優先順位

実装としては、リストの行に「その企業を選んだ根拠」を1列持たせ、それを本文に差し込む形が扱いやすくなります。差し込む値が空のときは送らないという制御を入れておくと、根拠の抜けた文面が出ていく事故を防げます。

セグメント別に評価する

結果は必ずセグメント別に集計します。全体平均では判断できません。

セグメント接触返信アポ判断
A(兆候あり・中堅)300125広げる
B(兆候あり・小規模)30091条件を見直す
C(業種のみ)60040外す

この表があると打ち手が決まります。Aを広げ、Bは返信はあるがアポにならない理由を探し(規模ゆえに予算が合わない可能性)、Cは外します。全体平均だけを見ていると、Aの成果がCの不振で薄まって「効果がない」と判断してしまいます。

最初の設計手順

  1. 既存顧客の共通点を洗う(なぜ買ったのか、どんな状況だったか)
  2. その状況が公開情報から読み取れる形に翻訳する(=兆候の定義)
  3. 兆候+業種+規模で1つ目のセグメントを作る
  4. 母集団が目標に足りるか確認する(足りなければ条件を1つ緩める)
  5. そのセグメント専用の文面を書く
  6. 小規模に当てて、セグメント別に集計する

1番目が起点です。既存顧客がなぜ買ったのかを言語化できていないと、兆候を定義できません。ここが曖昧なままセグメントを作ると、属性の組み合わせを変えるだけの試行錯誤になります。

まとめ

  • セグメントを切る目的は母集団を減らすことではなく結果を読めるようにすること
  • 切る順序は ①兆候 ②業種 ③規模 ④地域。地域から切るのは成果に無関係な削り方
  • 兆候は求人票・プレスリリースなどから読み取れる「いま」の情報
  • 反応率×母集団が目標に足りる範囲で、もっとも狭く切る
  • セグメントごとに文面を変える。分けて同じ文面を送るなら意味がない
  • 評価はセグメント別に。全体平均では良いセグメントが埋もれる